片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「・・・俺はダイヤモンドホテル銀座1017号室に宿泊している。敦司様にはそう伝えておいてくれ」


「承知しました」


「じゃあな」


小陽さんの様子を気にもせず、彰成様は出て行ってしまった。

私は彰成様をエントランスまで見送ると慌てて小陽さんを探す。


小陽さんは青白い顔でお手洗いから出て来た。


「小陽さん、大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。彰成様は?」


「お帰りなられました」

「そう」


「それよりも小陽さん…もしかして気分悪いのは・・・おめでたですか?」


「うん」


「よかったですね・・・」


「よかったかもしれないけど・・・」

小陽さんは語尾を濁し、俯いた。

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