片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「ワインは冬也に任せる」

「じゃメニューはお前に任せたぞ」
私達は分業してワインとメニューを選んだ。

「カンパイ」
「カンパイ」

私達はカチンとグラスを鳴らして乾杯した。

「夏芽って一人っ子か?」

「うん、まぁ」

弟が居るけど・・・
弟とは音信不通で、携番とメルアドは知っているけど、私から連絡したコトはない。

私はワインを一口飲んで、新鮮な帆立のカルパッチョを口に運んだ。

「美味しい」

「俺も一人なんだ」

「知ってる。家元は冬也が継ぐの?」

「多分・・・でも、フランスの父さんに会ってどうするか相談するつもりだ」

「お父さんは緑川家を追い出されたんでしょ?」

「誰から訊いた?」

冬也は驚き、慌てて問いかける。

「相馬部長から訊いたと言うか・・・」

「相馬部長か…部長の父親は俺の父親の友人らしい」

父親が相馬部長を通して冬也の情報を手に入れているとはさすがに言えなかった。
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