片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
部屋に戻り、朝食の準備をしようとLDKに行くとテレビボードの脇の花瓶には昨日なかった花が生けられていた。
シャワー浴びたてのバスローブ姿で冬也が現れる。

「それはクリスマスローズ。俺が昨日お前の為に買って来たんだ。帰宅したのは深夜だし、寝てるお前を起こすのも悪いかと思って・・・花瓶に生けておいたんだ」




「ありがとう。冬也。クリスマスローズか・・・クリスマスローズって白い花だけだと思っていた。ピンクや赤い花もあるんだね」


「まあな。薔薇と同じで、クリスマスローズの花言葉は色によって違うんだ。だから、ピンクや赤のクリスマスローズを選んだ」


「薔薇か・・・」


花言葉に無知な私は黄色の薔薇の花言葉なんて知らなかった。

薔薇の花言葉で中傷するなんて遣り方が陰湿過ぎる。


悔しさで胸がいっぱいになるーーー・・・


「どうした?夏芽」


「ううん。コーヒー作ろうか?」


「頼む」


私はキッチンカウンターに立って、コーヒーメーカーでコーヒーを作る。


冬也はダイニングテーブルの椅子に座って、私を見つめた。


「花言葉は慰めだ。夏芽。小陽さんの赤ちゃんは無事だったんだろ?落ち込むコトはないはずだ。他に何かあるのか?」



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