片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
眠りから覚めても私の決心は変わらなかった。


「栗原さんも泊ったんですね・・・」

「二人っきりにはさせておけないだろ?」

朝食は栗原さんの手作り。

片づける手間を考え、ワンプレートで盛り付ける所が合理的で栗原さんらしい。


「離婚は思い留まった?」


「私の意思は変わりません」


「一晩寝ても、夏芽さんの意思は変わらないか…二人の間にまだ子供は居ないし、離婚に障害はないよな」

「離婚するのか・・・」


平沢さんはポツリと呟き、コーヒーを口に含んだ。


「離婚するにしても・・・冬也にどう切り出すんだ?」


冬也が素直に離婚に応じるようには思えない。


私と離婚する位なら全部捨てると言っている人だ。


「冬也を納得させる理由が見つからない・・・」


「尊、夏芽さんはお前がスキなんだ。お前が彼女の浮気相手になってやれ」

「ま、柾貴さん?彼女がスキなのは俺じゃなく、星苑さんでしょ?」


「お前が相手なら、冬也も浮気相手として納得する。離婚の話もスムーズに進む」




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