片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「声だけでオンナを妊娠させられるすげぇ男だからな」


「夏芽のヤツ・・・」


酔いが一気に醒め上がった。


「お前も午前様だし、お互い様だな」


夏芽の涙を見てから心が揺らいでいる。夏芽の為に全てを捨てる覚悟を決めいるが、いざ爺ちゃんを目の前にしては言えないし、捨てきれないと思う。



このまま、リアルな星苑さんと・・・


「星苑さんと居た方が夏芽は幸せかもしれない」


「お前、尊に夏芽さんを渡すのか?」


「口では全部捨てると言ってるけど、実際には捨てられないと思う」


爺ちゃんは俺を次期家元としてここまで育て上げてくれた。
俺には爺ちゃんの後を継ぐ義務がある。


悩み苦しむ夏芽に俺と同じ道を強要できない。





「冬也・・・夏芽さんと離婚して、一人で後を継ぐのか?」


「そうだ。そうすれば、周囲は俺の家元継承を反対しない。全て上手くいく」



< 292 / 359 >

この作品をシェア

pagetop