片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「夏芽お前には色々と辛い思いをさせてゴメンな」

「いいのよ。冬也」


最初から離婚は決まっていた。

「私達は離婚前提の結婚だった」

「そうだな。でも、俺達は片恋ではなかった」

「あれは夢だったのよ」


そう思えば幾分気が楽だ。私達は選択肢を間違えた。

「夢にしたいほど辛いのか?夏芽」


「冬也は?」


「俺は・・・」


「私達に愛はなかった・・・」


「夏芽」

冬也の切なそう低い声が心を痛ませる。


私が静かに目を閉じると冬也が唇にキスをした。


――――別れのキス。





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