片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
『嵯峨派』の敦司様、『氷見流本家』の彰成様、そして『緑川派』の次期家元の父さん。

3人が一同揃い、法人『氷見流』本部の応接室に笹沼母娘を呼び出した。


「父は冬也と香苗お嬢様の結婚には反対のご意向を示しました」


「奈都也さん貴方一人で『緑川派』を守れるとお思い?」


「俺一人の力では守れないと思います」


「私の力が必要でしょ?」


「本家として門下生に限り『緑川派』の分派を認める。貴方を慕う者達と共に分派を立ち上げればいい」


「私達を『緑川派』から追い出すの?」

「人訊きの悪い。奈都也さんを家元として認め、黙って力添え致すなら、そのまま残れば良い。見返りを求めるのであれば、それは奈都也さんを家元として認めないと言うコトだ」


「彰成…様」


「冬也・・・」


「香苗、悪い。俺はやはりお前と結婚出来ない・・・」


「夏芽さんと復縁する気?冬也」


「香苗、自分を愛していない男と結婚しても不幸になるだけだぞ。お前は一生無償の愛に生きるつもりか?」


「彰成様・・・」


「こんなにも尽くした私達を・・・」

笹沼様は湯呑みの緑茶を父さんに向かってぶっかけた。最後の悪足掻きだった。
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