片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~


俺は香苗の恨みに満ちた瞳に慄いた。笹沼母娘は逆ギレして本部から出て行った。

⋮緑茶をぶっかけられた父さんはタオルで顔とスーツを拭く。

「奈都也さんも飛んだ災難ですね・・・」


「俺は彼女を過去にフッた男だ」

「その男を今も忘れられない。だから、その男の息子に自分の娘を託した」

「かもしれないな・・・」


それでは夏芽の母親と同じじゃないか・・・


夏芽の母親も父さんが忘れられず、息子の俺に娘の夏芽を託したのか・・・?



「奈都也さんは罪な男ってコトだ・・・」


「このまま黙って引き下がってくれればいいが・・・」

彰成様は人様の修羅場に愉悦を感じているが、敦司様は不安視していた。

俺も香苗の瞳が気になった。


憎しみの矛先を夏芽に向けなければいいけど。


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