片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
颯がソファに腰を下ろすとテーブルに紙を広げた。



「これは俺達の離婚届・・・」


敦司様は区役所に離婚届を提出していなかった。


俺と夏芽はもう赤の他人だと思っていた。



「どうして区役所に提出しなかったんですか?」


「冬也君と夏芽さんには拓真君と小陽が大変世話になった。
私は君達には離婚して欲しくなかった」


「敦司…様」


「冬也君、夏芽さんは一人で君の子を産もうとしている・・・」

「俺は・・・夏芽を捨てて香苗と・・・」



「答えはもう決まっているだろ?」


敦司様は俺の目の前で離婚届を破った。



「このまま、夏芽さんを捨てたら君は一生後悔するぞ。今すぐに、夏芽さんの元に行ってあげなさい」


「冬也さん、俺と一緒に姉ちゃんの元に来て下さい」


「颯・・・」


< 325 / 359 >

この作品をシェア

pagetop