片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「違うならいいけど・・・」


「あ、居た居た。久保川」

栗原さんが一直線に私の元に来た。


「少し話があるんだ」

「話?」

「仕事の話だ。休憩が終ったら、社長室に来てくれ」

「分かりました」

栗原さんはそう言って足早に社長室に帰ってしまった。


「栗原は出勤してんだ。今日は確か社長は有給を取って休みのはずだが」

そう言えば、そんなコト朝礼で三枝部長が言ってたっけ。

「社長が居なくても、秘書は秘書で色々と仕事があるんだな。さてと俺も戻ろうかな」
相馬部長は空き缶をゴミ箱に捨てて社内に戻って行った。


休憩ルームにはポツンと私一人が残ってしまった。

自分だけ仕事をサボっているようなキモチになり、心は罪悪感で一杯になる。


煮詰まった企画書は後回しで、栗原さんの元に急いで行こう。

缶コーヒーを飲み干してると冬也が休憩にした。


「夏芽お前、ここに居たのか…どうりで社内に姿がないワケだ」


「私に何か用だった?」


「少し仕事を手伝って貰うかと思って」


「私、これから…栗原さんの居る社長室に行くの」

「そうか…稜真のお呼びか…?稜真は今日…休みだって朝礼で訊いたような・・・」


「私に用があるのは栗原さん」


「柾貴がお前に何の用なんだ??」


「知らないわよ」

「変なコトもあるもんだな」

「栗原さんの用が終ったら、主任の執務室に行きます」

「ああ、頼んだぞ」






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