片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
敦司様は何でもお見通しなんだと思った。

俺は拓真さんから貰ったお守りを大切にビジネスバックに入れた。


「母さんが俺を出産する時も同じコトが起きて、緊急帝王切開になったらしい」

「妊娠や出産にはトラブルが付き物なんですか?」

「それは個人差があると思うけど」

「個人差か・・・」

「だから、そう気にするな。冬也」

「気にしますよ。自分のカラダのコトじゃないんだから・・・夏芽と赤ちゃんのコトなんですから」

「禁酒せずに気晴らし、飲めよ」

「どこかで訊いたコトのある声だと思えば・・・」


俺達の個室のテーブルに彰成様が香苗を連れて入って来た。


「冬也か・・・」

「彰成様がどうして?」


「俺達は食事をしに来たんだ。濱部拓真と二人で飲んでいるのか?」

彰成様が俺の隣の席に、香苗が拓真さんの隣に座った。


「何で?お前らが此処に座るんだ?」

「知り合いだろ?冬也」

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