片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
飲み会での席で酒に酔った主任に質問された。

『久保川お前…男居ないだろ?』

企画力では全く敵わず悔しい思いをしていた私は虚勢を張って嘘をつく。

『馬鹿しないで…私にだって男の1人や2人は居ます』と。

私は嘘に嘘を重ねて、主任の中では男たらしと思われるようになった。


本当はずっと…主任のコトがスキで・・・

そう言えば、私は主任に全部負けてしまう。それが悔しいから言えなかった。


主任は素敵過ぎるのよ。

ツヤのあるサラサラした黒髪は後ろに撫でつけたようにセットされ、きりっとした太い眉、二重の切れ長の瞳、高い鼻梁、程よい厚みの形の良い唇、そして甘く聞えるテノールの声。

凛と咲く花のような長身の立ち姿。

主任は560年続く華道の家元・氷見流緑川派の次期後継者ー--・・・


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