片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「美味い」
冬也はお母さんの肉じゃがを美味そうにパクパクと口に運んだ。
「ウチの婆ちゃんの作る肉じゃがと同じ味だ。美味い」
「肉じゃがだけでなく、この漬物を食べて・・・お婆ちゃんお手製の糠漬けだから・・・」
「へぇー夏芽の婆ちゃん。糠漬けを作ってんだ」
認知症を患っていても毎朝、ぬか床を混ぜる習慣は忘れていないらしい。
「冬也って・・・洋食のイメージが強いけど、和食派なの?」
「そりゃそうだろ?ウチは華道の家元だぞ」
「そっか」
「夏芽は華道の嗜みなんてないけど・・・いいんですか?緑川さん」
「全然、大丈夫です。ウチの婆ちゃんも華道とは無縁だった人だから・・・結婚してからでも、華は道習えるし、心配要りませんよ」
冬也はそう言ってくれているけど、実際はどうなのか・・・
冬也って物事を深く考えない所があるから、冬也のお婆ちゃんだって影で相当苦労したかもしれない。
「夏芽さんって一人っ子なんですか?」
冬也の質問にお母さんの表情が強張る。
「あ…隠していたけど。実は弟が一人居るんだ・・・中学卒業後は三重県の全寮制の高校に行っちゃって、大学はそのまま京都の京大理工学部に入って…今は一応東京の何処かに居るはずなんだけど…どこに居るかは・・・」
「全然、実家に帰ってないってコトか?夏芽」
「うん」
携番とメルアドは1年前に変更のメールが私のスマホに届いた。でも、メールを送信したコトもないし、今もその携番とメルアドが使用されているかどうか定かじゃない。
「色々と事情があって、息子の颯は家には帰って来ないし、会ってもいません」
「まぁ、俺も実の父親とは最近まで絶縁状態でしたし、人のコトは言えませんから、深くは詮索しません」
颯のコトとなるといつもは明るいお母さんの表情が暗く沈んでゆく。
冬也はお母さんの肉じゃがを美味そうにパクパクと口に運んだ。
「ウチの婆ちゃんの作る肉じゃがと同じ味だ。美味い」
「肉じゃがだけでなく、この漬物を食べて・・・お婆ちゃんお手製の糠漬けだから・・・」
「へぇー夏芽の婆ちゃん。糠漬けを作ってんだ」
認知症を患っていても毎朝、ぬか床を混ぜる習慣は忘れていないらしい。
「冬也って・・・洋食のイメージが強いけど、和食派なの?」
「そりゃそうだろ?ウチは華道の家元だぞ」
「そっか」
「夏芽は華道の嗜みなんてないけど・・・いいんですか?緑川さん」
「全然、大丈夫です。ウチの婆ちゃんも華道とは無縁だった人だから・・・結婚してからでも、華は道習えるし、心配要りませんよ」
冬也はそう言ってくれているけど、実際はどうなのか・・・
冬也って物事を深く考えない所があるから、冬也のお婆ちゃんだって影で相当苦労したかもしれない。
「夏芽さんって一人っ子なんですか?」
冬也の質問にお母さんの表情が強張る。
「あ…隠していたけど。実は弟が一人居るんだ・・・中学卒業後は三重県の全寮制の高校に行っちゃって、大学はそのまま京都の京大理工学部に入って…今は一応東京の何処かに居るはずなんだけど…どこに居るかは・・・」
「全然、実家に帰ってないってコトか?夏芽」
「うん」
携番とメルアドは1年前に変更のメールが私のスマホに届いた。でも、メールを送信したコトもないし、今もその携番とメルアドが使用されているかどうか定かじゃない。
「色々と事情があって、息子の颯は家には帰って来ないし、会ってもいません」
「まぁ、俺も実の父親とは最近まで絶縁状態でしたし、人のコトは言えませんから、深くは詮索しません」
颯のコトとなるといつもは明るいお母さんの表情が暗く沈んでゆく。