片恋シンデレラ～愛のない結婚は蜜の味～
「コーヒー飲む？」

「コーヒー？」

「お菓子もあるわよ」

「コーヒーは要るけど。お菓子は要らない」


冬也は少し冷めたコーヒーを啜り、辺りを見渡した。


「ここはお前の部屋だっけ？」

「そうよ」

「まぁ綺麗に片付いてるな」

冬也はコーヒーのカップをトレイに戻し、私の肩を抱いて来た。


「何するの？」

「肩を抱いてるだけだ。別にそう緊張しなくてもいいだろ？」

冬也は全身に力を込める私にリラックスするよう促す。



「そう言われても・・・」

「だって、お前の反応。まるで、男に触れられたコトのない雰囲気がするぞ」

そうだと言いたいけど、言えない。
結婚すれば、もっと大胆に冬也は迫ってくるかもしれない。

処女の私は上手にかわす自信がない。
「まぁ、それがお前の手なんだろうな。夏芽は男を油断させて、いきなり襲うんだろ？」

「私を獣みたいに言わないでよ」

「本当のコトだろ？」

「冬也の馬鹿っ」

「馬鹿で結構だ」


冬也は私の唇にキスを落とし、そのまま舌を入れて口内を侵してゆく。舌を絡めたキスは苦手だけど、冬也は濃厚なキスをお好みで、結婚すれば毎日こんな蜂蜜のように蕩けるキスを落とされるのかと思うと不安で一杯。







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