片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
私は1階の奥にあるお婆ちゃんの部屋を訊ねる。
お婆ちゃんは20年前に死んだお爺ちゃんの仏壇に手を合わせてた。

「お婆ちゃん・・・」

「あ…夏芽か…仕事から帰って来たんだね・・・」

認知症の症状が進行すると記憶障害とか起きて、私のコトも忘れてしまうかもしれない。

「夏芽はいつになったら結婚するの?」

「お婆ちゃん…結婚は・・・」

「お婆ちゃん…夏芽の花嫁姿を見てからお爺ちゃんの所に逝きたいわ」

「そう言われても…結婚は一人じゃ出来ないし・・・こればかりは…お婆ちゃんの願いでも訊けないわ」

「でも、お婆ちゃんは花嫁姿が見たいの」

お婆ちゃんは語調を強め、私を詰る。
ここで言い返しても、お婆ちゃんには訊き入れて貰えない。

「…分かったわ。何とか結婚出来るように努力するわ」

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