片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「でも、結婚すればもれなく夜の生活が付いて来るでしょ?」

「しなくていいって言ってたけど…でも、キスは毎日の日課にするって」

「男と女が同じ部屋に暮らして、しかも世間的に認められた夫婦。本気で何もないと思ってる?」


冬也は欲望の塊みたいな感じだし、貞操を守るのは大変だとは思うけど、あれだけ社内中に公言したし、今更結婚を白紙には戻せない。


「冬也に食われるのは時間の問題だな」

「私を脅さないでよ。偽装結婚である以上、貞操は守って見せる。最後まで男たらしを演じて見せるわよ!」


「そんな意地にならなくても・・・」

「意地になる。だって、相手は冬也よ」


私は仕事の上で既に冬也に負けている。
スキだけど、彼のオンリーワンにはなれない。


男たらしを完璧に演じるにはまずはキスが上手くならなきゃ。


「冬也のコトスキなんだろ?」


「スキだけど・・・プライドが邪魔するの。最初は同じ土俵の上に立ってたのに、冬也だけが出世した。その上、私が自分に惚れてるって知ったら…益々私の立場がない」

「久保川の言いたいコトは分かった」

「ねぇ、栗原さん、どうすればキスって上手くなれる?」


私の唐突な相談に栗原さんの目がキョトンとする。








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