片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
冬也side~
副社長夫妻とWデートなんて緊張するな。夫妻の披露宴には爺ちゃんと共に招待されたし、正月の生け初めには父親の敦司様と共にお会いしたけど、直接の面識は余りない。
「緑川!!」
副社長の方は気安く俺の名を呼んで手を振った。
俺の方が気を遣い、3人の居る場所に駆け寄る。
「待ったか?」
「いえ、俺は来たばかりです。濱部副社長」
俺が副社長と軽く会話をして、夏芽のそばに寄った。
「突然、こんなコトになってゴメンなさい」
「別にいいよ。それよりも奥様とは正月生け始め以来ですね」
「そうですね」
「緑川とはやっぱ、華道の繫がりで顔を合わせているんだ」
「そりゃ奥様のお父様の敦司様は氷見流嵯峨派の家元だし」
「そう言えばそうだったな。緑川、先にランチしよう。俺の行きつけのイタリアン予約したんだ。ダメか?」
「いえ」
「じゃ決まり」
副社長の車で隅田川の畔にあるイタリアンレストランへと向かう。
俺と夏芽は後部座席に座るが、彼女はいつもの調子で話し掛けて来ようとしない。
実家での挨拶の時、駅にママチャリで走り込んで来た夏芽とはギャップがあり過ぎる位、今日の彼女は綺麗だった。
女って化ける生き物なんだと初めて分かった。ドキドキした心臓が俺のカラダの内側を激しくノックする。
「緑川!!」
副社長の方は気安く俺の名を呼んで手を振った。
俺の方が気を遣い、3人の居る場所に駆け寄る。
「待ったか?」
「いえ、俺は来たばかりです。濱部副社長」
俺が副社長と軽く会話をして、夏芽のそばに寄った。
「突然、こんなコトになってゴメンなさい」
「別にいいよ。それよりも奥様とは正月生け始め以来ですね」
「そうですね」
「緑川とはやっぱ、華道の繫がりで顔を合わせているんだ」
「そりゃ奥様のお父様の敦司様は氷見流嵯峨派の家元だし」
「そう言えばそうだったな。緑川、先にランチしよう。俺の行きつけのイタリアン予約したんだ。ダメか?」
「いえ」
「じゃ決まり」
副社長の車で隅田川の畔にあるイタリアンレストランへと向かう。
俺と夏芽は後部座席に座るが、彼女はいつもの調子で話し掛けて来ようとしない。
実家での挨拶の時、駅にママチャリで走り込んで来た夏芽とはギャップがあり過ぎる位、今日の彼女は綺麗だった。
女って化ける生き物なんだと初めて分かった。ドキドキした心臓が俺のカラダの内側を激しくノックする。