片恋シンデレラ～愛のない結婚は蜜の味～

「その服って…お前の趣味じゃないだろ？」

「うん」
夏芽は素直に白状し、恥かしいのか俺の顔を見ようとせず俯く。
その萎らしい仕草に益々ドキドキした鼓動が加速する。


「私が彼女の服を選びました。気に入ってくれました？緑川さん」

「え、あ・・奥様の趣味ですか・・・」

「似合っているでしょ？」


「え、あ…孫にも衣装かな」

俺はテレ臭くて、本当のキモチは言えず、憎まれ口でしか返せなかった。


「どうせ、私には似合いませんよ」

「緑川のヤツは綺麗になった久保川さんを見て、照れ臭くて本当のキモチを言えないんだよ」


副社長はハンドルを握りながら俺の本音を見透かしたような言葉を言う。


「そんなのは嘘ですよ。副社長」


夏芽は嘘だと決めつけて言い返すのだった。


「まぁ、久保川さんも緑川もお互いに遊び人だからな…意地の張り合いしてんのか・・・」


「意地なんて張ってませんよ」