片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
冬也side~
「実の母親は俺を産んで間もなく亡くなり、生後10ヵ月で俺はこの邸宅に預けられました。それが俺の知る爺ちゃんが話してくれた事実です」
「・・・お前は生後10ヵ月でこの私達の元に引き取られた」
「唯、それだけで父さんが俺の親権をはく奪され、家元も継げず、緑川家とは絶縁された。他に理由があるんだよね。爺ちゃん」
「そうだ」
爺ちゃんは強く頷き、床の間に生けられた淡い紫色の藤の花を見つめる。
庭の藤の木から切り取り、生けられた物。藤を棚仕立てではなく、切込みを入れ仕立て、立てていた。藤の花と共に一本の蔦も生けられ、器との見事な曲線が目を惹く。
「藤の花言葉を知っているか?」
「藤の花言葉は…何だっけ?」
「恋に酔う」
「それが何か?」
「お前の父親・奈都也は道ならぬ恋に酔ったんだ」
「えっ!?それって不倫?」
「そうだ。このもあろうに、奈都也はお前の実の母親の兄の妻と恋に落ちたんだ。
それも、生まれて間もないお前を介して、二人は知り合った」
「・・・お前は生後10ヵ月でこの私達の元に引き取られた」
「唯、それだけで父さんが俺の親権をはく奪され、家元も継げず、緑川家とは絶縁された。他に理由があるんだよね。爺ちゃん」
「そうだ」
爺ちゃんは強く頷き、床の間に生けられた淡い紫色の藤の花を見つめる。
庭の藤の木から切り取り、生けられた物。藤を棚仕立てではなく、切込みを入れ仕立て、立てていた。藤の花と共に一本の蔦も生けられ、器との見事な曲線が目を惹く。
「藤の花言葉を知っているか?」
「藤の花言葉は…何だっけ?」
「恋に酔う」
「それが何か?」
「お前の父親・奈都也は道ならぬ恋に酔ったんだ」
「えっ!?それって不倫?」
「そうだ。このもあろうに、奈都也はお前の実の母親の兄の妻と恋に落ちたんだ。
それも、生まれて間もないお前を介して、二人は知り合った」