片恋シンデレラ～愛のない結婚は蜜の味～
「終わってはいませんけど・・・」
主任とお話してばかりではパーティに来た意味がない。

「まぁ…お前で手を打とうか？」

「はぁ？主任何を言ってるんですか？」

私と主任は顔を突き合わせて見つめ合う。

「俺と結婚してくれ」
「もう一度言ってください」

私は訊き間違いだと思って復唱を促した。

「俺と結婚してくれ」

「私と主任は同期でかってはライバルだった仲ですよ。それに私は男たらしで・・・」

「それは分かっている」
主任は頷きながらこう切り返した。

「俺と同じで結婚考えてないだろ？」

「まぁ・・・そうですけど」
私は持っていたグラスの水を喉に通して早鐘の鼓動を落ち着かせる。

「結婚すれば、こんな不毛なパーティ毎回参加しなくても済む」

「そうですね・・・」

「偽装でも何でも…俺は結婚出来ればいい。大きな案件を幾つも抱えて忙しいと言うのに。こんなコトで時間を割きたくない」

私は彼の部下。
主任が毎日遅くまで残業に勤しむ姿は見ている。
主任は努力家で責任感が強い人。

「見合いすればパーティに参加しなくても結婚出来るでしょ？」

「何で…爺ちゃんが決めた相手と結婚しなきゃいけない。俺の相手だぞ！！」
主任は私に向かって行き場のない怒りをぶつける。

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