片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
ACT♥10後見役は元総理

冬也side~

夏芽に見せてしまった情けない姿。

どんな顔して会えばいいのかと思ったが、夏芽は普段と変わらない雰囲気で俺に接して来る。


夏芽も内心、尋常じゃなかった俺の様子を見て気を遣ってんだろうな。

列席者は家族だけのスマート婚を考えていたが、爺ちゃんは家元としての俺の未来を見据えて派手な挙式披露宴を考えていた。


俺が執務室で仕事をしていると爺ちゃんから電話が入る。


「もしもし、どうしたの?爺ちゃん」


―――――――冬也、お前達の仲人は・・・


「仲人って・・・別に仲人まで立てなくていいよ」


――――――もう頼んだから…早急に先方に二人で挨拶に行けっ!


「えっ!?爺ちゃん、誰に仲人を頼んだの?」


―――――――財団法人氷見流の理事を務め、後継者の居ない氷見流嵯峨派の家元となった伊集院敦司さん夫妻に頼んだからな。敦司さんなら、家元となったお前のバックボーンとなるだろう。キチンと挨拶するんだぞ。冬也


「元総理夫妻に仲人を頼んだの!!?」


―――――お前と妻の夏芽さんの将来を見据えて私が選んだ仲人であり、お前達二人の後見人。冬也、不満なのか!!?


爺ちゃんは電話越しで怒鳴るとまた苦しげな声を漏らした。


爺ちゃんを怒らせると心臓に悪いと思い、俺は「ありがとう。早急に夏芽と二人で挨拶に伺います」と礼を言って電話を切った。
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