片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
肺の奥から盛大な溜息が出る。

世襲主義だった氷見流。しかし、氷見流嵯峨派は3年前、独身の家元が急死で血脈が途絶え、急遽本家の門下生でありながら、氷見流全派に通じていた敦司様が家元の後を継いだ。

最近は具合の悪い爺ちゃんに代わって緑川派の公式の場も家元の代理として仕切っていた。

将来的に爺ちゃんが、敦司様を俺達の後見役に選ぶのは当然。


氷見流全派に通じているなら、嵯峨派に続いて緑川派の家元も敦司様が継いでくれたらいいのにと思うけど、敦司様も67歳そう若くない。


俺は内線で夏芽を呼び出し、爺ちゃんから告げられた仲人の件を話した。


「私達の仲人を伊集院元総理夫妻が務めるの?何だか、話がどんどん大きくなってない?冬也」


「大きくなってる。何だ?ビビってる?」

「あ、当たり前でしょ?」


「俺の話はこれで終了。お前も仕事あるだろうし、下がっていいよ」


「少しは元気になったんだ」


「あ・・・まぁな」






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