一緒にいたいから
「俺がスケのことを知ったのは、書類仕事をしていたときだった。

書類の中に、スケを売る由が書かれた未記入の契約書があったんだ。

キクはスケのことが好きだ。

だから、その時点で一回父親に確かめて、考え直せといったんだが、聞き入れられなかった。

それでスケがここを出ていくことはもう決定事項だとキクに伝えたら、じゃあ自分もついていくと言った。

キクの目が本気だったから、俺はキクをついていかせることにしたんだ」


「でも、ついていかせるって…?」


私が先をせがむと彼は寂しそうに、

あのときのスケくんやキクちゃんと同じような表情で微笑んだ。
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