一緒にいたいから
「お前にはここに行ってもらう」

「はい…分かりました、父さん」

「じゃあ、出てけ。早く準備をしろ。

出発は今夜だ」



スケくんがこちらに来る音がする。

私は慌てて物陰に隠れた。

スケくんが部屋を出ていき、孤児達の部屋に入った音がして私はようやく息をついた。

でもまた、聞いてしまった内容に息が詰まる。



スケくんがいなくなる。

スケくんが何処か遠くに行ってしまう。

しかも、今夜。

スケくんがいなくなったら、

………キクちゃんが悲しんでしまう。



キクちゃんはスケくんが好きだ。

知らないうちにスケくんがいなくなったら……


そんなのダメだ。


私はスケくんがいなくなるのを阻止すべく、母のもとへ足を進めた。
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