一緒にいたいから
私が肩を落として孤児達の部屋─私達の部屋─に戻ろうと歩いていると、玄関に、少ない荷物と1枚の紙を持って立っているスケくんがいた。

スケくんは私を見ると驚いたような顔をしてから、寂しそうに笑って言った。


「ねぇ、お姉ちゃん……この紙書いとけって言われたんだけど、間違ってないよね?」


そう言って持っていた紙を私に見せる。

それは間違いなく、スケくんを売り渡すという内容の契約書だった。

私の目に涙が浮かんでくる。

耐えきれずそのまま涙をこぼしてしまった私に、スケくんは驚いて私の顔をのぞきこんだ。


「……行っちゃうの……?」

「……うん」


またスケくんは寂しそうな笑みを浮かべる。


「……キクちゃんは…どうするの……?」


私の問いに、スケくんは寂しさを残したまま、笑みを消した。
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