人の分だけ恋がある。みんなが恋してる
小説


春くんが小説を読んでる。


どんな本だろうと思い覗いてみると……


「あー、
そのシリーズ読んだことあるよー!!」


春くんが読んでいたのは
私の大好きなミステリー小説だった。


「おーまじか。どの話?」


「暑き殺人とか箱の中の祭りとか… 

 でも一番好きなのは孤島の密室!!」


「あーーっ!読んだことある。
 『松伏探偵最大の危機!』
 ってやつだ。面白かったー。」


「だよねだよねー。あれでしょ?

 『僕には見える。犯人の姿が!』」


手を太陽にかざして言う松伏探偵の
名ゼリフを
私は、天井に手をかざしてものまねした。


「あはははっ。
 夏海似てるんだけどー(笑)。」



嬉しい。


私の好きな物が
好きな人と被ってるなんて。




 
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