〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

眠ってしまったみたいだった。
気が付けば課長の胸の中で髪を撫でられていた。

「…京。気がついたのか。すまない、…やり過ぎた。大丈夫か」

「…大丈夫です」

少し…大分ツライけど。

「子供っぽい事してごめんな。訳も無く、何だか勝手に康介に妬いたんだ。
京の様子が変わったのはアイツに会ってからだったから。…ごめんな」

「何も無いですよ?感情も、何も。心配するような事は何も無いです」

「うん。…ただアイツがよく解らない奴だからな。心配は心配だ。…男だからな」

ん。唇をそっと重ねた。

「京…好きだよ」

抱きしめられた。

「あ゙」

変な声が出るほど力強かった。

「色気のない声だな」

クスクス笑う。

「だって…課長が強く抱きしめるから。ゔぐ」

「こうか?」

「もう、苦しい。窒息します。死んじゃいますって。肋骨が折れます」

「ん゙〜ん。…こんなに好きなんだ、解ってくれたか?」

「本当に。正真正銘、痛いくらい解りました。だから離して」

「嫌だ。離さない」

課長〜…。

「京が好きって言って、キスしてくれるまで離さない」

…。

「…京、解っていても言われたいもんなんだよ…たまには」

あ…私は。言ってもらってばっかりで、…幸せをもらって。
自分から言って無いかも。
自分ばっかり幸せを感じていた。

「課長…好きですよ」

…。

「駄目。…忘れてる」

…恥ずかしいから、…もう。…でも。

チュッ…。両手で口元を隠すように触れた。

「有難う、京。てん嬉しいよ。…はぁ、幸せだ…。俺は単純だから、今後拗ねてたらこうしてくれ」

…それは、毎回、課長の罠に飛び込むようなものだ。

「京…またシたくなった」

ね?そんな事言われても返事に困る。

だから、抱き着いた。
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