〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
・全ては誤解の無いように
諜報活動。つまりスパイ。
そんな事をしているつもりは無い。
ただ何もかもが偶然だと言って誰が信じてくれるだろう。
知ってしまった事、誰にも話していないのだから、スパイには当たらない。
依頼者も存在しない。
澤村拓。
俺の本職以外のバイトの客。
先に誤解の無いように言っておくが、俺は普段は普通にスーツを来て、会社に勤めている。
いつもアヤでいる訳では無い。夜限定だ。
俺の事を知る人はどっちなんだと聞く。
ま、それは明らかにしない方が夜のバイトには好都合だ。
俺はあくまで女装しているだけだ。
そんな店に拓は接待で現れた。
こういう店の方が話をしやすいからだと言う。
キャバクラのお嬢は案外口を滑らす。
だがここに居るのは、見かけは綺麗にしているが、中身は男だ。
男は男の立場を心得ているもの。
偏見だよ?キャバ嬢だってプロ意識をしっかり持った子も居るし、男だって所謂お喋り体質の奴も居る。
要は誰に当たるかだな。
永年の付き合いの陽人以来だった。
こんないい男に出会うなんて。
そう思った。