〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
何よ...。鎌を掛けてるの?私の現状、探るつもり?
足元を見るわね。...そうよ。
三十を目前に私は独りだったから。
寂しくなったのかも知れない。
麻美という独り身の友も居るには居るが、麻美は上手く世渡りしている。
疲れるから真剣な気持ちになりたくないと言う。
それより駆け引きを楽しむ方がいいって。
見た目とは違って、肉食とでも言うのか、上手く生きているのだと思う。
課長にときめきを感じているのも、魅力を作る材料になっているようだ。
当の課長の本心はどうなんだろうか、解らないが。
さりげないアプローチも、もうばれているような気がする。
その上で気付かない振りをしているようにも見える。
相手にしていない。つまり、麻美には気は無いと言っているつもりなのだろう。
それを感じ取っても、めげないのが麻美だけど。
それすら楽しんでいる。
刺激があるのはいい事だ。なんだっけ、女性ホルモン...エストロゲン?
なんだかそんなモノが出るらしい。結果、お肌の調子もよくなるらしい。
麻美はずっと綺麗だ。
可愛らしさをキープしている。
陽人が返事をくれたのは二週間後だった。
返事はOKだった。
初めての付き合いのような新鮮さは無いだろう。
変わりに、よく知っている安心感は多分にあるだろう。
OKだけど、この付き合いには条件があると言った。
何だろう。
俺が来いと言ったら来い。出来るか?と聞かれた。
常識の範囲内でなら努力します、と答えた。
それでいい、と言われた。
そんなユルユルの条件に意味はあるのだろうか。
何を求められているんだろう。
束縛?支配?
どっちにしても決して強制的なモノにはならない。
私の努力次第だから。
そして、別れてから9年と3ヶ月振りの付き合いが改めて始まったんだ。