〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。


何よ...。鎌を掛けてるの?私の現状、探るつもり?
足元を見るわね。...そうよ。

三十を目前に私は独りだったから。
寂しくなったのかも知れない。

麻美という独り身の友も居るには居るが、麻美は上手く世渡りしている。

疲れるから真剣な気持ちになりたくないと言う。
それより駆け引きを楽しむ方がいいって。

見た目とは違って、肉食とでも言うのか、上手く生きているのだと思う。

課長にときめきを感じているのも、魅力を作る材料になっているようだ。

当の課長の本心はどうなんだろうか、解らないが。

さりげないアプローチも、もうばれているような気がする。
その上で気付かない振りをしているようにも見える。

相手にしていない。つまり、麻美には気は無いと言っているつもりなのだろう。

それを感じ取っても、めげないのが麻美だけど。

それすら楽しんでいる。

刺激があるのはいい事だ。なんだっけ、女性ホルモン...エストロゲン?
なんだかそんなモノが出るらしい。結果、お肌の調子もよくなるらしい。

麻美はずっと綺麗だ。
可愛らしさをキープしている。



陽人が返事をくれたのは二週間後だった。

返事はOKだった。

初めての付き合いのような新鮮さは無いだろう。
変わりに、よく知っている安心感は多分にあるだろう。

OKだけど、この付き合いには条件があると言った。

何だろう。

俺が来いと言ったら来い。出来るか?と聞かれた。

常識の範囲内でなら努力します、と答えた。

それでいい、と言われた。

そんなユルユルの条件に意味はあるのだろうか。
何を求められているんだろう。

束縛?支配?

どっちにしても決して強制的なモノにはならない。
私の努力次第だから。

そして、別れてから9年と3ヶ月振りの付き合いが改めて始まったんだ。

< 12 / 175 >

この作品をシェア

pagetop