〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
陽人は宣言通り、すぐに来い、を多用した。
休日は当然のように強引に呼び出され、デートをする事もあれば、部屋に居るだけの事もあった。
平日も容赦ない。
遅い時間にだって来いと言う事もある。
幸いだったのは、お互いの部屋が思った程遠くなかった事だ。
ここら辺は治安もいいからその点では助かった。
まさか、こんな近くに住んでいたとは思いもしなかった。
部屋は職場を基準に探すのが当然だと思っていた。
陽人の職場と私の職場もそう離れていなかったという事だ。
これでは遅くなる口実も嘘では作れないなと思った。
姑息な事は出来ない。
会社を出るところ、確認されるかも知れないから。
ぶっきらぼうに来いって言う割には、言葉ほど酷い目に合った事は一度も無い。ごく普通だと思う。
会いたいから呼ばれているのとなんら変わりない。
ただ思ったのは、いくら知ってる男だとはいえ、18の男子と28の男では違いはあるという事だ。
当たり前だけど。
少年と大人では違う。
そういう意味では別人と付き合っていると言ってもいいくらいだ。
ずっと付き合っていると変化していく事は自然なモノだろうから、気が付かないくらい馴染んでいくものだろう。
でも、それが無かった訳だ。
だから、知ってる陽人であっても別人。
いきなり大人の男の陽人なのだ。