〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
掛け替えのないモノ
康介さんは陽人の事、何も言わなかった。
結局話したのは極普通の話ばかり。
時々ギョッとするような事を言ったりしたりするのは、夜のお仕事で鍛えられたトークと、対応が出ているんだと思えた。
夜の世界は甘いものじゃないはず。笑いながら、でも根性がいる世界だと思う。
楽しむための苦しみってあるような気がする。
華やかであればある程キツイような気がする。
少しも覗いた事の無い世界は未知で包まれている…。
「京、泊まっていくか」
なんて不意に言ったりする。
…ホストはしないのだろうか。すぐにでもナンバーワンになってしまいそうな感じなのに。
帰るね、って言ったら、帰るのか、って言う。
ジョークだと解っていてもドキッとさせられる。
これってどんな会話なのって、混乱しそうになる。
訳が解らない行動や不意に話す言動には意味があるようにも思えた。
良く取り過ぎだろうか。
全ては私の気を紛らせてくれてるように思えてならなかった。
変に動揺させたり、落ち着かなくさせてるのは、何かから目を逸らさせるため。
気持ちを沈み込ませないためにも取れる。
康介さんといると陽人の事が私の頭に過ぎるからと思っているに違いない。
贔屓目過ぎるかな。
本人に言ったらきっと買い被りだと言うだろうな。
同じ人物でも、アヤさんの康介さんになら、聞けたのかも知れない、陽人の事。
だけど、それを解っていて、昼間に会う事を決められたようにも思えた。
これも考え過ぎかな。
康介さんも、話したいようで、でも迷った。
だから、私に聞かれないようにするために。今日、たわいない話で終わらせたんだ。