〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「えっと、それから、まだ話があります」
今度はなんだ?
更に神妙な顔付きじゃないか…。康介と何かあったのか…。
…まさか、俺は天国から地獄行きか?
会いたいって思ったら会いに来てくれてたのに。
この喜びは糠喜びになってしまうのか?
「…私を…澤村京にして貰えますか?拓さん。
取り敢えず、今と変わらず。現状維持の状態でという事でですが…」
「え…あ、京……いいのか?」
まさか、そんな話を…。
「はい。いいのかではありません。それがいいんです。
…そうして頂けるなら、よろしくお願いします。
こんな我が儘な状態のままで本当に良いのですか?」
「いいんだ、京。俺は一緒に居られるだけでいいと言っただろ?
京…後悔は無いのか?本当によく考えたのか?」
念押ししても…少なからず不安はある。
「よく考えました。後悔なんてありません」
「いいんだな?本当に後悔しないか?いいんだな?」
もう…やっぱりごめんなさいは無しだぞ?
本当にいいんだな?
「はい」
「…なんて日だ。ヤキモキしたんだぞ?康介と会うって言うから。
懐の深いところも見せとかないといけないと思って…部屋に行くって言うし、強気で許可したけど。
京から、帰ったって連絡を貰うまでは、俺は檻の中の動物と一緒だった。
一日中部屋の中を右往左往していたんだ。
もう、こんな思いは二度としたくない」
課長…。いつも気持ちを正直に口にしてくれる。
だから、不安がない。それが嬉しい。
私も正直にならなくちゃいけない。