〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「ああ。京のご飯が一番だよ。
なんだって工夫して作ってくれるし。何より旨いんだ」
「こんな日だからって、誉め過ぎだと思います。普通にしか作れません」
「京」
「はい?」
「デリバリーしよう。今日は京も料理を休もう。パーティーメニュー注文しよう。
そうしよう?」
「あ、はい、解りました」
届いた物に驚いた。
こんなのもあるんだ。
普段デリバリーはした事無かったから、バスケットに色んな物が盛り合わせになっているのを初めて見た。
お肉もあるしマリネやサラダもある。
サンドイッチのバスケットもあった。
注文できるメニューが色々あるのね。
…こんなに沢山食べられるかしら。
シャンパンもあった。
課長は色々とメニューをプラスしたようだ。
お皿に盛り付け直して、テーブルクロスをしてキャンドルなんか置いたりしたら、すっかりパーティーになってしまうだろう。
一体いくらかかっているんだろう。
課長が受け取りに出たから解らない。
いけない…こんな時はそんな事考えちゃいけない。
美味しく頂く事が一番だ。
グラスを静かに合わせた。
「ゆっくりしよう、京。明日も休みだし」
「はい、課長」
「今日だけは課長はやめようか。
会社で言い間違えるの気にして呼べないんだろ?」
「え?」
「大丈夫だよ。明日一日で戻せばいいし、例え会社で呼んだとしても問題無い。…もうそういう関係だ」
頬に手を当てられた。
「拓…」
手の上に京の手が重なった。
お…グッとくる。
シャンパンでほんのり染まった京の口から俺の名前が。
…頂かない理由がない。
「京…なんだか色っぽいな…」
片方の手も頬に当て両手で包むと、優しく唇を重ねた。