〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「そうだよ」

「…やっぱり。解った、…ごめんね。自分ばかりを優先したような、身勝手な付き合い方をして。
ごめんなさい。有難う。陽人、…有難う。
嘘を…有難う…」

「うん?」

なんだ、どうした。…え?…バレてたのか?
俺、癖でもあったか?

「駄目だよ?陽人。
口にしたらそれが本当になってしまうんだよ?
確かに少なからず、私のきっかけは良くなかったと解ってる。
だけど、陽人はそんな事を理由にする人じゃない。だから、それを理由にしたらダメだよ…。
陽人の人となりは知ってるつもりよ?
人柄は、何年経っても変わらない。
だから、本当の理由は別にある。
そうでしょ?
だって…あんな…あんな風に楽しい時に…変に優しくなったりとか…だから、あんな急になんて、おかしすぎるもの。…陽人、…馬鹿……」

「京…」

泣かせてしまうつもりは無かった。
もう駄目だ…。本当の事をちゃんと言わないと駄目か…。
子供っぽい事をして、京を泣かせてしまった…。
結局、俺は…これではイジメじゃないか。無駄に傷付けて、困らせて、泣かせて…。……はぁ。

「京、悪かった。もう泣かないでくれ。
……俺は、京に、恋愛して欲しかったんだ。
だから、もう、ドキドキもしないだろう俺と居るより、まだ男として知らない人と恋をして、色んな経験や感情を知って欲しかったんだ」

「…私の為…に、嘘を言ったの?」

終わりにしようって。

「ああ。京は俺しか知らないからな」
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