〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
あぁ、だから…旅に出ろって、旅の意味はこういう意味だったのね。
俺を強くさせてくれって…自分の気持ちは殺すという事?人に託すから?好きなのに諦めて…我慢するって事だったの?

「…どうしてそんな事、…どうしてそんな事したのよ…」

「……京が好きだからだよ。
好きだからに決まってるだろ?」

「...変人過ぎる。私だって、好きだった。そうでしょ?そんな事……する必要…あった?
……どうしてよ…意味が解らない……」

ごめんな、京。…俺も好きだよ…。

「好きだから、って言ってるだろ?
好きな人には幸せになって欲しい。
それは、俺じゃなくていいんだ。いや、俺じゃない方がいいんだ。
京が幸せならそれがいいんだ」

「私が陽人とは幸せだと思えないと思ったの?」

「んん、それは、それなりに幸せかな?」

「ううん、幸せよ?なのに…。だったら…」

どうしてよ…。

「それなりより、ちょい上の幸せの方が良くないか?」

「陽人…何…そんなの…」

「少しは解ってくれたか?
俺はな、京…。好きなんだ、京の事が。だから京の幸せを願ってる。そういう事だよ」

解んないよ…。

「もう…馬鹿、陽人。…解らない…」

馬鹿よ…。

「俺もすっごい思ってる。最上級の馬鹿だって。
…だってさ、自分から手放して、…送り出してしまったんだから。どうしようもない馬鹿だと思う。
だからさ、そんな馬鹿な俺を救ってくれるのは京しか居ないんだ」

「陽人?」

「京が間違いなくずっと幸せで居てくれる事。それだけだ。それが俺を救う事だ、それしかもうないんだ」

「陽人…」

…陽人。
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