〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「な、陽人。京、呼んでさ。誕生日のお祝いしよう」
「あのな、もうそんな簡単にはいかない事、康介だって解ってるだろうが。
今はもう無理だ。
前とは違うんだから。
それに、俺の誕生日なんて...別に祝って貰いたくもない」
「普通にだよ、普通に。
淡々と誘えば大丈夫だよ。拓は大人だから許してくれる」
「止めとけよ...みんな一緒ってならまだ解る。
何を好き好んで俺のところになんか...来さす訳がないだろ?
課長さんも一緒にって言ったところでギクシャクするだけだろうが」
「...やっぱダメか。顔見るだけでいいんだけどな」
...。こんなに康介が語った事は無かったな。初めてだ。
「だったらさ。隠せ」
「あ?」
「気持ちを隠して会え。...出来るならな」
無理に決まってる。
康介といえども、気持ちに気が付いてしまったら難しいだろうが。
「アヤで会えばいいのさ。康介であって康介じゃない。
京だってアヤとなら女子同士みたいに話すじゃないか。
嫌か?ずるいみたいで。
内心は落ち着かないだろうけど」
俺は、どんな助言をしているんだ。
おかしな事を勧めていいのか。康介としての男心が余計傷付くじゃないか。
対、女を望んでる訳じゃないもんな。男が女を好きなんだもんな。
危険も孕んでいる訳だから、康介を後押しするような事を言ったらダメだ。
「陽人は?嫌じゃないのか?」
「京と会う事がか?
嫌とか、そんなもんは無い。
ああ...課長さんがって事か?」
「うん。俺は俺のままでも女装してても、拓に警戒はされてる気がする。
なんとなく感じる。
恋愛中って敏感に察知するだろ?人の心とか」
「そうだな、解るもんだな」