〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

焼けたハンバーグをお皿に盛り、フライパンに赤ワインを少し頂き、ケチャップを入れて煮詰めた。

ソファーで一息入れていた陽人が再び現れた。

「なんか、ソースっぽい匂いがする…」

「うん、これをハンバーグにかけるから」

「ふ〜ん。ドロッとして旨そうだな」

ドロッとして…。
確かにそうだけど。その表現が不味そうに聞こえるんだけど。

あ、居なくなった。
匂いに釣られて、見たら納得したのかな。
トマトがあったから切って添える。後はおまけで目玉焼きかな。

…出来た。
肉じゃがも味がしみたと思う。鉢に盛った。


炊き上がりのメロディーが鳴った。ご飯も炊けた。

「陽人?出来たよ。もう食べられるけど?」

「ん?…ああ?…解った。…食べる」

陽人はゲームはしない、誰かにメールでもしてたのかな。
陽人にしては珍しく上の空っぽかったな。

ご飯をよそって置いた。おまけのお味噌汁も。


…なんだろう。
ちょっとだけ…違和感。
長年でも無いけど、陽人を知っているからこその…少しの不安。
そんなモノが少し過ぎった。


「悪い悪い。食べよう。お、色々出来たんだな。旨そう」

「旨そうじゃなくて、旨いんです!」

最近始まった付き合いでも、こんな言い方も平気でできる…二度目だから。

「ハハハッ。まあまあ。何そんなにむきになっちゃってさ。頂きます」

「…頂きます」

「…ん、旨い!旨いぞ俺の作ったハンバーグ」

…味付けは私です。
それに、陽人の食べたのは私が成形した方ですぅ。
ちょっと手伝ったら全部自分がしたみたいになるのが不思議…。
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