〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「ご馳走様。美味しかったよ、京」
「ご馳走様でした。また一緒に作ろ?陽人の気が向いた時に」
「ああ。これでも炒飯とかは作れるんだぞ?」
「へえ〜、じゃあ、機会があったら食べさせて?」
「機会って…妙な言い方だな。いつでもいいのに。ま、どうせ出来ないって思ってるんだろうけどな」
「そんな事、ない…」
…嫌だ。なんでだろう…。
自分でも変だと思った。
まるで一緒にご飯を食べる事がもう無いみたいな…、そんな風にも取れた。…変な印象だ。
「え〜?言葉のチョイスを間違っただけよ。単純ミスミス」
「俺、ちょっとコンビニ行って来る。京は…その格好は外出禁止だな。留守番決定。
すぐ戻る。なんか欲しい物あるか?」
「なんでもいい、任せるから、スイーツが欲しい」
「解った。じゃあ行って来るから。
いい子で待ってろよ…」
首元に口づけられた。
「い、いって、らっしゃい」
フッて笑って出掛けて行った。
なに、なに?
大人な陽人はこんな事する。あんな事言う。
いい子で待ってろなんて…クッションでも抱いて悶絶したいくらい。
…ずるい。
キスする場所ずるく無い?
頬でもなければ、耳でもない。…唇でもない。
ゾクッとした。
…どうやら、私みたいにずっと独りだったとは思えないな。…当たり前よね。
陽人はいい男なんだから。