〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

安心するという事がこんなに琴線に触れるとは思いもしなかった。
涙腺が緩んでしまった。

「…京…。そんな…泣かないでくれ。ごめん。ごめんよ…」

やっと首だけ振った。大袈裟かも知れない。
だけど何かあったらと思った感情は、もう既に家族のようにも思えた。
もう一度陽人に抱き着いた。

「安心した…。陽人に何も無くて。
コンビニに行って帰って来た。それだけの事なのに。
…大袈裟に、自分でドラマチックにしちゃった。私がごめんなさいだよ。
大丈夫だから、もう泣かないから」

「いや、泣いていいぞ…」

「え?」

「京の泣き顔…いいもんだ。
綺麗だ。不謹慎にもそそられてしまった」

…はぁ?
何言ってるのこの男…。
…私の心配と涙を返して。

「と言うことで…、あっち行くぞ?
それとも、このまま押し倒そうか?あ〜、それともソファーでしちゃう?
キッチンに行ってダイニングテーブルの上っていうのもどう?」

…。

陽人ぉぉー。何かのフェチが発動したの?脳天気な事言って…。

突き飛ばそうかと胸に手を当てたけど遅かった。
自由を奪われたように抱き込まれてしまった。

「…馬鹿。冗談だよ。怒るな…、拗ねるなって…」

もう、無駄に怒った分、何とかしてよね。
身体からヘナヘナと力が抜けていくし。…疲れたよ。
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