〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「いいのか?知りたいから聞いたんだろ?…どうしても知りたいなら話すけど?」
ゴクン。いや、知らない方が幸せという事もあるから。
「いい。言わないで。絶対言わないで。いいから、言わないで。
もう聞かないから」
「そう?なら止めとくか」
「う、ん…」
ふぅ。これでいいよね。余計な詮索をして自分から不幸を呼び込む必要は無いよね。確信がある訳でも無いんだから。
「…京?しよう?」
あ…。う、ん。
「いいよ…」
ちょっと上の空で返事した。
「本当にもう聞かなくてもいいのか?」
「え、いいよ…」
抱き上げられた。
えっ、ちょ、なに、なに?ちょっと、なに?
「ちょっと陽人、下ろして」
「聞かないって言うから言わないつもりだったけど、なんか誤解されてるようだから言うよ。
俺が」
「いや、だから言わなくて…」
被せるように言った。それでも陽人は続けた。
「俺が出掛けた理由はこれだよ」
ポケットからチラッと見せられた物は、長方形の箱の物であろう一角。
…へっ?
「この前にさ、無くなっちゃって。すぐ買ってなかったんだ。京が来ないと要らないから。
そしたら、京がいきなり来ただろ?焦った。
だから、その…ハッキリ言って買いに行くのもなんだから、コンビニ行くって出たんだ。
いつも行ってるコンビニで買うのはちょっと、な。後々あれだから。
だからドラッグストア迄行って来たって訳。
いい?」
はぁ、もう…。何…それ。
諸々ひっくるめて。
「…いいよ」
だから疑うもんじゃ無い。疑問は早めに聞く事だ。
「納得?じゃあ、シよう」