〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
だけど、なんだよ。
久し振りに会った京の内面は、可愛らしい女になっていた。
高校生の時、割り切った考え方をした京に、俺はどう言ったらいいか迷った。
京の言った答えに対して、俺は、正直だ、と伝えた。
それで良かったのか、悪かったのか、測れなかった。
そんな話をしたもんだから、俺の事を理屈っぽいと思ったらしかった。間違いない。
告白した相手には普通は、返事だけするものだろう。
だけど、京と話していると、将来まで話したくなった。それは近い将来の事から、まだ解らない先の事まで。
付き合うけど俺とばかりじゃなく、他の事も大事にして欲しいと言ったら、多少なりともショックだったようだ。普通は彼、彼女を優先するから。
でも、話していく内に、お互いにこだわり過ぎない事もいいんだと解ってくれた。
全てを付き合っている相手に依存してしまったら、他のモノが無くなってしまうから。
そんな考えを理解してくれた。
大人が言う、仕事と私とどっちが大事なの、と秤にかける言葉。
少し違うかもしれないが、部活、友達、付き合っている相手、それぞれに違う価値観で大事なモノだ。
何かに引っ張られて無くしてはいけない。
そう思った。
俺達は普通だったと思う。
京が優しい人がいいと言った。
だからと言う訳では無いが、優しい男で居ようと思った。
俺自身、俺の優しさがどれ程のモノかなんて解らなかったけど。