〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

…なんで今更俺なんだ。

別れてからどれだけ経つと思ってる。
しかも俺は子供の恋愛だった相手だぞ。ずっと好きで忘れられなかった相手では無いだろ?
あったとするなら、高校生の淡〜い思い出だ、と言うに違いない。
そのくらいの思いだったんだろ?

だとしたら何故だ。
返事の即答は避けた。
自分でも解らないけど、返事はすぐ決められなかった。

俺の弱みか…。嫌だと強がって言ってはみたけど。
あんなに、なんの未練も無く終わらせた相手に、今更なんの用があるって言うんだ。
誰かと彼を作る賭けでもしたか…。
そんな…ほぼありもしない事まで考えてしまった。

辛い恋でもしたか…。忘れる為に気心の知れた俺に会いに来たか。
少し付き合って傷を癒そうとでも思ったのか。

全ては外れた。

京はあれから誰とも付き合っていなかったんだ。
京はもう大人だ。
誰かと付き合えば関係は持つだろう。

でも、そうじゃなかった。
京は綺麗なままだった。
究極、清い交際をしていたとでもいうのか?
いや…それは考えられない。

男と違って、簡単に捨てる事は出来ないモノだと思う。
京の心の奥にあるモノが知りたくなった。

独りだったから俺なのか。
俺だったから付き合いたいと会いに来たのか。
独り身が寂しくて、誰でもいいなら、俺でいいと思ったのか。
何故俺なんだ。

もう、子供じゃないからこそ、どうしても知りたくなった。
遊びで無い事だけは解った。

俺の知ってる京は、そういう駆け引きを楽しめる女では無いからだ。
< 31 / 175 >

この作品をシェア

pagetop