〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「あ、…課長ー。駄目です!駄目駄目!!
私、今、付き合っている人が居ます」

…やっと意識が繋がってきたか。はぁ…。

「知ってる。S彼だろ?Sの振りしたSじゃない彼」

「Sじゃないって、よくご存知で」

「そんなのは京を見てたら解る。辛そうじゃないからな」

楽しそうだとは言いたくない。

「はい」

コラッ。はいって言うな、はいって。

「あの、…何故、こんな…」

「もう、堪えられなくなったからだ。
彼が出来たと解っても、俺が京を好きだからだ。
この気持ちは変わらないんだ。だから言わずにはいられなかった」

「でも」

「ああ。告白はさせてくれてもいいだろ?」

「はい。あ、…はい」

…悪いモノではない。…嬉しいのは嬉しい。…。


「それにさ、俺は今、何気に京を抱いている。これは長年の俺の思いへの褒美だと思ってる」

「あっ!!澤村さん」

暴れてみた。正確には暴れてみようとした。
全然動けない。離してくれない。

「…少しだけだ。
京…、もう少しだけ、抱きしめさせてくれ」

ゔぅ゙…。いいのか?いい訳無いよね…。
ごめ〜ん陽人。ごめんなさい。

「彼氏に謝ってるだろ?」

「え゙?」

「ここ。と、……ここだ。心の声が漏れ過ぎだ…」

…課長、…今。

軽く胸の上に触れた?それに、唇が…、キスした?

「か、課長!せ、セクハラ。セクハラですよ。セ、セクハラ。ぱ、パワハラ、パワハラ」

動揺しまくり。焦ってパクパクした。

「ハハハッ。頂いたもん勝ちだ。……まぁ落ち着け。
具合悪いんだから、少し休んでから戻れ。いいな?」

あ、まただ。今度は頬に唇が触れて優しく抱きしめられた。

「さ、澤村さん…」

自分でも混乱しているのがよく解った。
もうパニックだ。

さっきから課長と澤村さんと呼び方が入り乱れてる。

「…解りました。熱が出たので少し休んで戻ります」

棒読みだ。

「了解。訴えるなよ?」

「は…い」
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