〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
・言わなくちゃ
記憶が無い。
ううん。それは罪状を認めたくない被告人が使う常套句。
記憶は明瞭だ。
一時間くらい横になった。
普段の私なら時間も場所も枕も選ばない。布団に入ったらすぐ寝てしまう。
瞼を閉じても眠れなかった。
一応安全策としてスマホのアラームを設定しておいたが、なんの支障もなく止めた。
上半身を起こした。
澤村さん…。居たよね。
好きだったって。言った。確かに言った。
だったって事は、昔から、…いつから?
気が付いてくれなかったって…。
…私。…なんてお馬鹿なんだ。超ド級の…お馬鹿じゃん。
課長が私をずっと好きだったなんて。気付きもしないなんて。
何年も何年も…誰一人、私の事なんて好きになってくれる人が居ないと思ってた。
…だから。
独りはもう…って思った。
それなのに、何よ…。どうして?
陽人と付き合い始めた私に、今頃打ち明けるなんて…。
…付き合ってるのに。
告白だけだった。
確か、返事とかは、求められなかったはず…。
唇に触れてみた。
キスされた。
頬にも。ちょっとだけど…胸の上の方、手をおかれた。
陽人に言わなきゃ。話さなきゃ。