〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
ひぇー。課長恐るべしだな。
あの席からは何でもお見通しって事?
ロッカールームに入り急いで着替える。
コートに手を通しながら荷物を取り出し、忘れ物は無いか確認をする。
ガタガタとハンガーが落ちる。...んもう。
見て確認しても忘れてしまうのが私の常。
よし、今日は大丈夫ね。
化粧崩れの状態なんて気を遣ってる場合じゃない。
見たら気になるから見ないに越したことはない。
そんな事してて遅くなるくらいなら、そのままで来いと言われるに違いないから。
綺麗に直して行くと何気にチェックされそうだし。
崩れたままの方が好都合だ。
何か買って行こうっと。
お惣菜だけでも買って行けば、お米はあるはずだから炊けばいい。
買い物をしていた事、言われるかな...まあ、それはいい。
ピンポン。
「遅い!と言いたいところだが...、早かったな。
お疲れ、入れよ」
「うん。ご飯は?
あ、ありがとう。」
コートを脱ぐと、引き取ってくれてハンガーに掛けてくれる。
「まだだ。どっちでもいい」
「じゃあ、食べよう?解んないからお惣菜買って来たの。
ご飯、炊くね?」
キッチンに入ってお米を洗ってセットする。
早炊きにすればあっという間に炊き上がるし。
ピッ。よし。
お皿、お皿と...お箸。
勝手知ったるなんとかだ。
いつものように遠慮なくキッチンを使う。
「あ...、陽人...」
バックハグされてしまった。
陽人は決してSな訳じゃ無い。
どちらかと言えば、甘いと思う。比較できないけど。
それに優しい。
今だって、お疲れと言って迎えてくれた。
「ん、京...」
首を少し捻られたかと思うと回り込むように唇を奪われた。
左手でしっかりと後頭部を押さえられてしまった。
「ご飯が炊けるまで、...な...」
空いている右手で、ピッ、ピピピって、通常モードに変えられてしまった。
「あ...」
もう...。
別に早く炊けても、それはそれでいいと思うんだけど。
タイムリミットは炊き上がりまでって事?
...延長されてしまいました。