〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。


ブーブーブー……。

【今から行ってもいい?】

京…珍しいな。ふ〜ん。…。

【来たいなら来い】

こんな感じでと。
あ、俺まだ会社だけどって言ってやんないとまずいか。

【まだ会社だけどな】

あ、珍しい。詳しく知らせて来るなんて。

【じゃあ、陽人の会社の前で待ってるから】

ん?馬鹿馬鹿。危ないだろうが。誰かに声掛けられたらまずいだろうが。

【着いたらすぐ知らせろ】

どういうつもり?まあ、言う通りにしよう。フフフ。


【着いたよ】

【待ってろ】

はいはい。待ってるよ。

「はぁ…はぁ…京!」

「あ、陽人?!」

「はぁ…取り敢えず、これ」

鍵を渡された。

「まだ一時間くらい終わらない。部屋に先、帰ってろ。じゃあな」

あ、陽人…。
もう。返事も聞かないんだから。

でも、これは鍵。
渡された鍵にはキーホルダーが着いていた。
私の好きなスノーホワイト。ハムスターのキーホルダー。
フフフ。好きだった物、覚えてるのね。
これ、私の鍵?ってことよね?

ウロウロ会社の玄関に居ると不審者になってしまう。陽人に迷惑掛からない内に退散しなくちゃ。

なんだか、嬉しい。落とさないようにしないとね。

ブーブー…。

【気を付けて帰れよ。無くすなよ】

フフフ。陽人、ありがとう。やっぱり優しい。

ブーブー…。

【なるべく早く帰るから】

もう…、優しい。
際限無くやりとりしたくなるから…だからいつも素っ気ないのかも知れない。

【仕事しなさい!】

フフッ。これでいい。このくらいが丁度いい。


ブーブー。
フ…京のやつ。
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