〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

カチャ。
…開いた。間違いなく陽人の部屋の鍵だ。
同じように部屋に入っても感情が少し違う。

一時間くらいかかるって言ってたな。
なんか今夜の幸せな気持ち、壊したく無くなった。
…どうしよう。
本来の目的は課長に告白された事を話すためなんだけど。
陽人には行ってもいい?としか言って無い。


…今夜は止めようかな。なんだか話せるタイミングじゃない。

だって、多分、私だけじゃない。
陽人だって少しはいつもより気持ちが違うと思う。

私の自惚れ?そんな事ないよね。
そんな日に話すのは止めよう。
まだ、時間はある。
ご飯作って待っていよう。
野菜もあるし…魚介類の冷凍もある。重いかな…、中華丼にしたら。
取り敢えずご飯炊こう。
玉子スープも作ろう。


ピンポン。

あ。陽人だよね。
フフフ。もう、自分で開けたっていいのに。

「はい。お帰り…え?」

「あ、ぇえ?」

「あの…」

「あー、すみません、間違いました。ごめんなさい」

失礼しました、階を間違いました、とその人は帰って行った。

なんだ。びっくりした。
…。綺麗な人だった。


ピンポン。

…今度は陽人?陽人だ。

カチャ。

「おかえ..」

「ただいま、京!」

うわっ。いきなりの抱擁。
…やっぱり今夜はハナサナイ。
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