〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。


「ごめんね。京ちゃんの事は知ってるの。あたしと陽人の仲だから。
10年愛よ。あ、でも誤解しないでね。
カミングアウトするまでは、男として、友人としての付き合いだから。
勿論、こうなった今でも清い交際よ?
ややこしくさせちゃったけど、要はただの男友達って事よ?解る?
さあ食べよう?」

「ありがとう」

「ちょっと触るわよ?はい、いいわ。ボタンがズレてたから」

「…ありがとう」

恥ずかしい。…だって本当に綺麗なんだもの。

「ちょっと陽人に連絡させてね」

「あ、でも」

「大丈夫。悪いようにはしないから」

うっ。ウィンクも魅力的。麻美、負けるかも。クルンとした自前だと思う睫毛も長い…。

【アンタの小猫ちゃん、預かってるわよ】

タイマーで送信してやるか。…さて、どうするかな、陽人。

「なんで泣いて飛び出して来たのかは聞かないわ。
どんな問題も二人の問題だから。
関係無い人間はアレコレ携わってはいけないものよ。ややこしくなる元だから。
話したい事があったら別よ?文句があったら聞いてあげるわよ?」

「ありがとうございます」

「ねえ?陽人の学生の頃の話、聞きたかったら聞いてね?いつでも教えてあげるから。
今日泊まっていきなよ。
今から帰るのは危ないから。お勧め出来ないわ」

「でも…、迷惑では?」

というか、いきなり初対面の男の人?の部屋になんて…いいのだろうか。
陽人の友達って言っても。

「迷惑なんかじゃないわよ。
久しぶりに生粋の女子と話が出来るんだもの、大歓迎。
どうせ寝付かれないでしょ?」

それは、確かに…。

「はい...」

「女はお喋りが好きなものよね。沢山話しましょ?
じゃあ、はいはい」

「え?」

「ピロートークはベッドでって、決まってるでしょ?
あたしのお寝間、貸してあげるから。ほらほら」

「あ」

初めてあった人なのに不思議な感覚。…の人。
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