〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

・京が

何故陽人がこんな見せ掛けのＳになってしまったのかは、正直解らない。

私達の付き合いにはブランクがある。
今は、二度目ましての付き合いなのだ。




高一の時、性格もまだ良く解らないまま、陽人のビジュアルに惹かれて迷わず告白したのは私。

そして『想像発言通り』、終わらせたのも私からだった。

高校生活、陽人と付き合って楽しかったと思う。
陽人は容姿だけじゃ無く、穏やかで優しかった。

だから私が振り回したんだと思う。

我が儘なつもりは無かったけど、気が付けばいつも主導権を握っていたのは私かも知れない。

凄くみんなに羨ましがられた。

いいな〜、京は。
陽人君みたいな彼氏、私達も欲しいって。

学年でも、格好いいと言われる人はそんなに多く無かったと思う。
それはどこの学校でも、そうだと思う。
沢山居る方が珍しい方だと思う。

そんな数少ない格好いい男子をゲットしたんだ。
羨ましがられるのは当たり前だと思った。


｢付き合ってください｣

と言ったら

｢なんで？｣

とやんわり言われた。

なんでって言われても、付き合って欲しいからなんだけど。

｢俺の事、何も知らないのに？いいの？
君みたいな可愛い女子は、他のヤツでもＯＫなんじゃないの？｣

可愛い？...嘘つき。
なんだかもう遠回しに断られているみたいに聞こえた。
常套句よね、断る時にちょっと良いとこ見つけて誉めるのは。
だったら、ダメって言って。
ダメなら仕方ないし。
なんにも始まってないから、今なら諦められる。
そう思っていた。

体は帰る方向に向きつつあった。

｢よく解んないけど、諦めるの？｣

え？