〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

う、う、ん。ん?んん?

…?何…誰?ここはどこ?…この状況はどういう事?
目を擦った。

「起きたかな?小猫ちゃん」

目の前の胸板、いや、イケメンが喋った。

「あの、あ、あの、あなたは…誰?」

「俺?ハハハ、さあ誰でしょう?」

いやてんなんて素敵な笑顔。駄目駄目。陽人みたいな素敵な顔、なんて思っちゃ。

「あの…アヤさんは?」

「ん?俺だよ?俺がアヤ」

……。

「キャ…」

「おっと、待った、待った。悲鳴は勘弁。大丈夫?落ち着いて」

口を手で塞がれていた。コクンコクン頷いた。

「いい?離すよ?」

頷いた。

「はぁ、だって…どう見たって普通の男の人だったから。それに…」

私は目の前のボクサーパンツ一つで寝そべる妖艶な男をマジマジと見た。

「ああ、これ?だってメイク落としてシャワーして来るって言ったのに、戻ったら京ちゃん寝てただろ?
その時見て確認してたら、今そんなに驚く事じゃない。だろ?」

そうだ。私、話もせず眠っちゃったんだ。

「そ、そうですけど、まさか、ほぼ全裸で対面するとは…そこまで思って無かったし…」

「ごめん。これは…寝るときはいつもこうだから。
まだこれでも気遣ったんだよ?
本来は本当に全裸だから。パン一だったの褒めて欲しいくらいだよ?」

それは解った。

「あの…えっと…」

「ん?ああ、ごめん。
柔らかくてさ、抱き心地良かったから。つい、抱き枕にして寝ちゃった。
凄く気持ち良かった。あったかくて、お陰で良く眠れた」

「…」

本当に心は女性よね?大丈夫よね?

「大丈夫、大丈夫。心配するような事はしてないから。
まあ、この姿ではちょっと信用薄い?説得力無いか」

ちょっとおでこにチューはしちゃったけど。抱きしめた流れで思わずね。
そこにおでこがあったから。


ピンポン、ピンポンピンポンピンポン...。

「あー、もお、煩い。壊れるっつうの。
京ちゃん、来たよ。早朝なのにナイトが」
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